リーダーシップを育む広大型女性研究者支援-広島大学女性研究者支援Webサイト
レポートカテゴリー 一覧
2009年3月14日(土)、広島大学生物生産学部にて、第3回体験科学講座~女子高生特別コース~「 女性研究者とサイエンスを学ぶ」を開催しました。
事前にこの体験科学講座に応募した52名の女子高生が大学での講義や実験実習を体験しました。
男女共同参画推進室長の相田美砂子先生の挨拶に続いて、「食の安全,安心を科学するために,我々はまず何から始めるべきなのか」と題し、生物圏科学研究科准教授・西堀正英先生がお噺をしました。賞味期限や産地の偽装が行われ、商品の安全性は保証されない現況に対処するために、サイエンスの基本である「観察」する姿勢を身につけることが大切であることについての講義を行いました。
お噺のあと、女子高生は今回の体験科学講座を担当する先生や支援員と昼食を一緒にとりながら、進路や大学での研究など日頃感じている疑問を質問して交流を深めました。昼食のあと、全員が白衣に着替え、1から4の4つのコースに分かれて実習を体験しました。
1コースは、生物圏科学研究科教授・水田啓子先生が女子高生6名に実習を行いました。2008年ノーベル化学賞“緑色蛍光タンパク質GFP の発見と開発”を理解するために、最初に、GFPとは何か、また、どのようにGFPが利用されるのか、実習で使用する酵母の特徴と酵母がなぜモデル生物として重要なのか、について講義を行いました。
女子高生は増殖中の酵母細胞の出芽の様子や栄養が枯渇した時に形成される胞子のようすを観察し、スケッチしたあと、GFP融合タンパク質を発現する酵母細胞を用いて、蛍光顕微鏡観察をしました。
「実験をして、GFPについてすごく良く分かり感動した」との感想がありました。
2コースは、生物圏科学研究科准教授・田辺創一 先生が女子高生20名に実習を行いました。女子高生は牛乳を固めることで自宅でも簡単に作れるシンプルなチーズを作る実習を体験しました。田辺先生は実習後、牛乳を凝固させる凝乳酵素について、仔牛由来のキモシンや代用凝乳酵素の遺伝子組換えキモシンを説明し、牛乳凝個メカニズムの講義を行いました。女子高生は実習で不要になった水分の廃棄が環境問題に繋がり兼ねないことなど「食と環境」について講義を受けました。
3コースは生物圏科学研究科助教・杉野利久先生 が女子高生16名に実習を行いました。最初に、ダイエットの危険性と動物のエネルギー利用性についての講義をし、食事制限によるダイエットに伴い生体ではどのような現象が起きているのか、を説明しました。 講義後、女子高生は全員がヒツジの飼育室に移動し、動物実験を体験しました。希望者は杉田先生と支援員の大学院生の指導を受け、糖原性物質としてプロピオン酸をヒツジに注入し、グルコースの産生を観察するために、頸静脈カテーテルの留置および採血を行いました。 採血後、実験室に移動してグルコースアナライザーを用いて血糖値を測定し、分析結果の説明を聞きました。想像していたヒツジとの違いに戸惑っていた女子高生も、すぐに実験に熱中していました。
4コースは、生物圏科学研究科助教・佐々木 晶子先生 が女子高生10名に実習を行いました。大学のキャンパスで密生しているエゾスナゴケを採取したあと、光合成による植物のCO2ガス吸収速度の測定を、赤外線ガス分析装置を使って行いました。女子高生は佐々木先生が研究を行っている実験室で、エゾスナゴケを入れた「サンプルチャンバー」とエゾスナゴケを入れない「ブランクチャンバー」に並行して連続的に通気し、それぞれのチャンバー内のCO2濃度の差から植物の光合成に由来するCO2吸収量を求めました。佐々木先生は、植物は二酸化炭素(CO2)と養分を吸収して有機物を生産する「光合成」の過程を通して、環境中の物質の流れに深くかかわっていることを女子高生に説明しました。
サブコースが終わり休憩した後、生物圏科学研究科准教授・矢野泉先生 が全員に「社会科学も科学です~検証:偽装表示や食への不安~」と題して講義を行いました。食の安全・安心、安全基準と検査方法、健康被害と信頼性などについて説明をし、社会科学的アプローチも必要であることを話しました。
最後に、生物圏科学研究科長・江坂宗春先生 が全員に「未来学士号」を授与し、終了しました。
最初は緊張していた女子高生は講義を聞き、先生や支援員の院生の指導を受けて実習を体験するうちに、研究のおもしろさや楽しさを実感し、昼食や休憩時間に、先生や院生に疑問や質問をして交流を深めました。「女性研究者としてのイロハをたくさん学べました」「学校では学ぶことができない実験ができてとても参考になった」などの感想もありました。